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ミスは過去のもの
「私たちの過失はわたしたちよりも先に消え失せてしまうものだ。過失などはミイラにして大事にしまっておかぬがいい」
アラン『幸福論』白井健三郎 集英社
何か失敗をしでかしてしまったとき、とても大きなショックを感じることがあります。相手に迷惑をかけてしまったときは申し訳ないし、ミスをした自分自身に対しても情けなかったり、ガッカリしてしまう。
アランは言います。こうしたミスは過去のものである、と。ミスは起きた瞬間から過去のものである。そんなに気にすることはない、ということですね。
アラン『幸福論』白井健三郎 集英社
付き合っているカップルにだって失敗ってありますよね。佐藤多佳子さんの短編小説集『いつの空にも星が出ていた』では、横浜に住む高校生カップルの甘くて力強い青春が描かれています。
「私」は彼氏である宏太と付き合っていたが、「私」の就職と宏太の専門学校入学で徐々に連絡を取らなくなってしまう。
距離ができたのは恋人の関係だけでなかった。二人の共通の趣味である野球観戦にも「私」は行かなくなってしまう。二人は大のベイスターズファンだった。宏太と会わなくなってから、横浜スタジアムにも足が向かなくなってしまっていた。
ここにはきっかけがあった。それは「私」の大学受験の失敗。趣味の野球観戦に行かないことに対して「受験に失敗した罰」のような考えが「私」の中にはあったのだ。
確かに受験に落ちる、というのは自分の人生のなかで一つの失敗かもしれないですね。でも、よくよく考えてみたら、それも人生の一つの出来事の結果でしかない。それは確かに一つの挫折ではあります。でもそれで自分の人生が100%失敗するわけではないでしょう。もしかしたら、将来の夢の実現から遠ざかるかもしれません。しかし、自分の夢の設計図通りに人生を送っている人が世の中にどれだけいるでしょうか。そこから私たちは、実はそんなに一つの失敗を気に病む必要はない、ということに気付くでしょう。
佐藤多佳子『いつの空にも星が出ていた』講談社
気分転換には食事!
悩みを一旦棚上げにすることも時には必要です。外を歩いてみたり、趣味の何かに没頭してみたり、寝るのも一つのストレスに対する対処法です。”食べる”というのも一つの手でしょう。
マンガ『孤独のグルメ』の作者・久住昌之さんは食へのこだわりが強い人。例えばラーメン屋に行ったとき、ビールと餃子、ラーメンの頼むタイミング、味はもちろんですが、価格設定にも持論を持っている。高すぎるラーメンはどうも性に合わない。久住さんは昔ながらの素朴なラーメンへ惹かれる様子をエッセイに綴っています。
久住昌之『食い意地クン』新潮社
「俺はきっと安くできている人間だ。でも食べることには身軽でありたいから、それでいい」
久住昌行『食い意地クン』新潮社
そういいながら、一つの丼もの、一つの定食にドラマを見出す久住さん。“食べる”というものにも人の数だけのドラマがある。そのドラマは一人ひとりの人生と想像力の賜物なのだとつくづく思います。
反省も大事だけど……
人生、生きていれば失敗することもあります。失敗は過去のものですが、どうしても今も気になってしまう。
それはきっと、この世の中が“反省”というものを強く求めていることからきているからかもしれません。
謝罪は大切です。反省も大切です。相手に誠意をもって対応することは必要でしょう。
そのうえで、私たちは必要以上に失敗を怖がり委縮してはいないでしょうか。
そこには他者の目があります。私たちが仕事で過ちをしたら、とがめられます。だからこそ、自分は自分自身にもっと優しくていい。苦しいあなたは本当は自分に厳しすぎるのです。
自分の失敗について考える時間を減らそう。そしてもっと楽しいことを考える時間を増やそう。
久住昌行『食い意地クン』新潮社「今日、どうする?と言う。ふたりとも何もすることがないのである。そして彼らは今はまだこの時間が人生全体を通しても素晴らしく幸福な時間であるとは気づいていない。
心を軽くして過ごしたいものですね。
自分を大切にね!
最後まで読んでくださりありがとうございます。
本日も皆さんにとっても実りある1日となりますように。
この記事に登場した本たち
アラン『幸福論』白井健三郎 集英社
佐藤多佳子『いつの空にも星が出ていた』講談社
久住昌之『食い意地クン』新潮社
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